特別賞 受賞

洋二郎は考えた おばあちゃんからのギフトを最高の状態にするために出来る事

  • 築:45年
  • 既存建築年: 1978年
  • 延床: 119.67㎡(36.2坪)
  • 敷地: 271.96㎡(82.26坪)
  • 価格: 3,000〜4,000万円
断熱シルバー
耐震ブロンズ
断熱性能
断熱等級5
耐震性能
上部構造評点1.03

コメント

「ああ、これは絶対に新築の方がいい」
リフォーム計画の為に訪問した洋二郎はそう思っていた。
なぜなら、現場は傾斜地に佇む築44年の空き家。
地滑り地域にも認定されている土地で耐震性の不安も大きく、
安全なリフォームを行えるかどうかは定かでは無いと思ったから。

しかし、N様の思いは違った。
「N様は幼少期からおばあちゃんに育てられてきた。
ここは、そのおばあちゃんとの想い出が沢山詰まったお宅であり、
壊して新築ということは考えられない。東京に出て開業して、
いつかはリフォームをしてUターンで返ってくることを決意して、
早10年が過ぎていた。」

開業した商売は順調であり生活的にも余裕もあった為、
十分に建替えをおこなえる財政力はあった。
しかし、N様の気持ちの中ではリフォ―ムをして住みたい。
この選択一択だった。

N様の切実な想いを聞き、洋二郎は決心した。
「今までの経験上99.9%新築した方がいい。
でも、0.1%でも可能性があるのであれば、最大限の努力をしてから考えよう。」

そこから、リフォーム計画はスタートしたが、決して平坦なものでは無かった。
先ずは、土地の安全性を確保する為に地盤や擁壁調査を実施。
その上で、将来にわたり、安全に暮らせるような建物の軽量化と耐震補強を計画。
その後も何度も調査、打合せを繰り返した。

時には、N様の計画に対して、上司から指摘されることもあった。
「リフォ―ムだとコストと内容が伴わないのでは?早く、新築をしてもらうように説得した方がいい。」

洋二郎はこう答えた。
「それは一般論であり、N様が本当に求めているものでは無い。
N様があの家をリフォームして住みたいと仰っている以上、我々はその想いに応えるだけです。」
と、N様に最適なリフォームを施すことが自らの使命だと捉え、全力を尽くした。

それからは、
「N様に喜んでもらいたい、おばあちゃんとの想いが詰まった家をよりよい形にしてあげたい。」
洋二郎は、各分野のスペシャリストの手を借りてあらゆる手を尽くした。

そして、洋二郎はリフォーム提案プランを何度も何度も出しては、懸念点が発生するたびに各所へ相談した。
プランを書き続ける事、13プランへとも及び、通常の4~5倍のプラン数となったが、ついにN様の心を動かしたプランは完成した。

傾斜地の利点を生かして、長野市に広がる景色を楽しめるようにし、
ご自宅でも仕事をおこなう事があるN様の生活を想像して、
仕事とプライベートの空間をしっかりと分けられるような今ドキのプランへ。

当初から1番のポイントとしてあげていた耐震性能では、既存の躯体を活かしつつ、補強を施し、1.03の耐震性能へと劇的に向上。また、断熱性では寒い信州でも快適な生活を送れるよう、UA値=0.42w/㎡K、気密性もC値=0.93c㎡/㎡と現代の省エネ性能でも十分な断熱性能を確保した。

そして、迎えたお引渡しは12月25日のクリスマス。
おばあちゃんの家に新たな価値を創出した洋二郎はサンタクロースに見えたに違いない。

新しい息吹が吹き込まれた住宅で、想い出が受け継がれていくことを、1番に喜んでいる、
洋二郎はさぞかし満足だったのではないかと・・・

After

Process

Before

Company