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無為庵(むいあん)~リノベで実現する自然と共に生きる暮らし~
2024年度
選考委員賞受賞
- 構造木造在来軸組工法
- エリア中部
- 既存築年 1974年
- 改修竣工年月2024年
- 敷地面積531.89㎡
- 延床面積104.34㎡
- 金額 3,500万円
断熱
- 等級
- 6
- 省エネ地域区分
- 6地域
- UA値
- 改修前 2.74w/㎡・K
- 改修後 0.27w/㎡・K
- (改修前の10.00倍に向上)
耐震
- 上部構造評点
- 改修前 0.53
- 改修後 2.03
After リノベーション後
Before リノベーション前
Process リノベーション施工中
Point 技術的なポイント
性能面では、耐震性を既存の約4倍(評点2.03)に、向上させるのと共に基礎補強を行い、現行基準法レベルの基礎に補強、水平構面の補強も行った。
断熱性についても付加断熱とAPW430により約10倍(UA





















無為庵(むいあん)の名前は、老子や荘子の思想「無為自然」に由来し、「人の手を加えず、あるがままに任せる」という意味を持ちます。実はこの名前は、義理の実家にある8畳ほどの囲炉裏小屋からもらいました。トタン張りの素朴な掘っ立て小屋には土間と囲炉裏があり、昔は近所の人や教え子と酒を酌み交わす場だったそうです。囲炉裏や自然に囲まれた暮らしへの憧れは、人間の根源的な欲求ともいえると思います。
現代の家づくりは性能や機能を重視しますが、我々はそれだけでは本当の豊かさは得られないと考えています。今回の計画では、安全性を確保しつつ、自然との共生をテーマにしたリノベーションを行いました。本物件は新築も可能でしたが、環境負荷軽減と持続可能な暮らしを目指してあえてリノベーションを選択しました。
土地は市街化調整区域に位置し、既存の庭樹が生い茂る環境でした。必要な樹木を残しつつ開墾を進め、間取りは既存の構造を活かしながら、庭や景色を楽しめる設計としました。31.5坪ながら、家中に多様な居場所があり、どの場所からも自然を感じられます。
性能面では、基礎補強や耐震性を既存の約4倍(評点2.03)、断熱性を約10倍(UA値0.27)に向上させ、新築以上の性能を実現。また、南面に大きな掃き出し窓を設けて日射取得を最大化し、7.74kWの太陽光パネルでエネルギー自給を目指しました。西側の山並みを楽しむため、開放的な窓を設け、暖房には調理も可能な小型薪ストーブを設置。庭は地元の富士山の溶岩石を利用し、既存樹木を活かしながら畑も楽しめる場としました。
完成した無為庵は、安全で快適な住まいでありながら、自然と共に生きる豊かな暮らしを実現する場となりました。